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日本企業が真にSDGsに貢献するために

多摩大学 社会的投資研究所 | 2019.10.04


10月24日のインパクト・サロンに登壇予定のFSGアジア太平洋責任者のリシ・アガワル氏と、PFCの黒田由貴子氏の共同論文「日本企業が真にSDGsに貢献するために:表層的な貢献表明は大きなリスクとなる」が、ハーバード・ビジネス・レビュー日本語版に掲載されました。

論文は、日本のトップ・グローバル企業100社のSDGsへの取り組みを分析し、従来型のビジネスが継続されていると結論づけます。これは、イノベーション競争に遅れるのみならず、「SDGsウォッシング」という批判を受けるリスクも出てきます。
こうした現状を踏まえ、論文は、インパクト・サロンでも取り上げる市場活用型のCSVアプローチとコレクティブ・インパクト手法の重要性を論じています。

SDGsに関心をお持ちの方々、ぜひご一読ください。10月24日のインパクト・サロンでは、このような問題意識を踏まえて、より実践的なあり方を検討する予定です。

(以下、記事の抜粋です)
国連が2030年に向けたSDGs(持続可能な開発目標)を制定して4年がたつ。SDGsに掲げられた17の目標は、地球社会の共存戦略である。この目標達成のためには、各国政府のみならず、企業を含めたあらゆるセクターの参画が不可欠とされた。しかし、FSG(CSV事業を支援する米系コンサルティング団体)が最近行った研究調査によると、ほとんどの大手グローバル企業のSDGsに対する取組みは不十分で、いわゆる「Business As Usual(これまでどおりのビジネス)」の域を出ていないという結論に至った。(https://www.dhbr.net/articles/-/5992で2019年7月3日既報)この記事の執筆者の一人であるFSGのリシ・アガワルとピープルフォーカス・コンサルティング(以下PFC)が同様の調査を、日本企業のSDGsへの取組みについて実施し、検証した。

 SDGsが制定された当初、国際社会での盛り上がりに比して、日本企業の関心度は低かった。国連グローバル・コンパクトの日本におけるプラットフォームであるグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンが2016年に、加盟企業233社に行った調査で、SDGsがトップマネジメントに定着していると回答した企業は28%に過ぎなかった。加盟企業には、社会課題解決にコミットすることが義務付けられているにも関わらず、である。

 これに対して、今回のPFCの調査では、日本企業の売上規模トップ100社のうち、7割の企業が、アニュアルレポートの中でSDGsについて言及している。自社公式ウェブサイトでSDGsへの貢献を唱っている企業を含めると9割にのぼる。また、株主総会や業界の会合といったフォーマルの場では、多くの経営者がSDGsのバッジを身に着けている。新聞等の企業広報記事にはSDGsのマークが立ち並ぶ。

 このような急速な変化は、日本企業の横並び傾向の他に、2つの要因がある。1つは、資本市場においてESG投資やTFCD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)などといった動きが加速化したことである。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が2017年に投資原則を改訂し、全ての資産でESGの要素を考慮すると明言したことの影響も大きい。もう1つは、消費者のエシカル商品への意識の高まりや、就職先の選択にあたって社会貢献度合いも重視するミレニアル世代の台頭が挙げられる。

 では、これほどに熱心に見える日本企業の取組みは、国際社会から見て賞賛に値するものであろうか。残念ながら、そうとは言えないと筆者らは考える。外国企業の場合は、SDGsの取組みがCSRの域を出ていないことが多いことが問題である。一方、日本企業の多くは、自社事業がSDGsに貢献していると表明している。しかし、それは、自社が元々展開していた事業をSDGsの17の目標に紐づけるという、単なるカテゴリー分けに過ぎない例がほとんどである。実態としては、企業の取組みに何ら本質的な変化は生じていないのである。

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