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第13回インパクト・サロン開催報告

多摩大学 社会的投資研究所 | 2020.01.26


1月23日(木)に「社会的インパクト投資を民主化するーリテール型インパクト投資の可能性」をテーマに第13回インパクト・サロンを開催しました。かなり専門的なテーマになってしまいましたが、50名近い方々にお越しいただきました。

グローバル市場におけるリテール型社会的インパクト投資の現状と課題

セミナーでは、まずリテール型インパクト投資の現状と課題について、社会的投資研究所の小林研究員より紹介がありました。ポイントは以下の通りです。

  • 社会的インパクト投資市場の発展に伴い、資金提供者に変化が生じている。ファンド・マネージャーの資金調達先は、従来、財団や富裕層が中心だったが、個人投資家や金融機関が拡大している。伸び率も、個人投資家が財団、富裕層を大きく上回っており、投資残高もほぼ同規模になりつつある。
  • リテール型インパクト投資の発展については、G8社会的インパクト投資タスクフォースの提言「市場の見えざる心」が発表された際に、トリオドス銀行による特別WGが「インパクト投資をすべての人に」という提言を発表しており、関心は当初からあった。
  • その後も、様々な提言が発表されているが、特に、2019年に英国政府のタスクフォースが公表した「英国における社会的インパクト投資文化の促進」という提言は、リテール型インパクト投資の促進を包括的に論じている。今後、他の国でも関心が高まるだろう。
  • リテール型インパクト投資商品としては、コミュニティ投資証券、チャリティ・ボンドなどの金融商品がすでに発展しており、またオンライン投資プラットフォームやインパクト投資専門のクラウドファンディング・プラットフォームも登場している。大手エクイティ型クラウドファンディング・プラットフォームの中にも、インパクト投資が組み込まれ始めており、今後、さらなる拡大が期待される。
  • リテール型社会的インパクト投資のさらなる発展に向けて、「資金供給の拡大」「手法の多様化」「普及・啓発」「基盤整備」の各分野で、様々な試みが必要である。社会的インパクト市場の拡大と、ソーシャル・セクターの多様な資金ニーズへの対応という点から、リテール型社会的インパクト投資のさらなる発展が求められる。
プレゼンテーション終了後の質疑応答

社会的インパクト投資に関する一般消費者意識調査

引き続き、社会変革推進財団の織田聡ナレッジ・ディベロップメント・オフィサーより、「社会的インパクト投資に関する一般消費者意識調査」の結果について、発表がありました。この調査は、全国の一般消費者を対象としたインパクト投資に関する認知・理解・関心等の実態把握を目的に実施されたものです。日本では初めての調査として注目されます。ポイントは以下の通りです。

  • 社会的インパクト投資を知っている人は、回答者の6.8%。投資経験者やミレニアル世代の認知度が高く、また世帯年収が大きくなるほど認知度が上昇する相関関係がある。
  • 社会的インパクト投資商品の購入関心度については、回答者の2割程度。投資経験者、ミレニアル世代、高所得世帯、ボランティア・寄付経験がある人ほど購入関心度が高い。
  • 経済的リターンについては、購入関心層の6割が「経済的リターンが他の投資商品と同程度であれば社会的インパクト投資商品を購入する」と回答。
  • 購入関心層の7割以上は、資産運用機関が社会的インパクト投資を行うことに肯定的な反応を示している。また、投資可能額としては、7割強が50万円未満と回答
  • 日本における社会的インパクト投資におけるリテール市場拡大に向けて、iDeco、NISAなどの個人向け商品への組み込み、ターゲットを明確にした上でのメディア向けのアプローチ、50万円以下で購入できるリテール向けインパクト投資商品の開発などが求められる。

その後、質疑応答、名刺交換会も活発に行われ、参加された皆様は、遅くまで会場で懇談しておられました。ご参加いただいた方々、本当にありがとうございました。

セミナー終了後の懇談会風景