近年、地域活性化のために必要なファイナンス手法は多様化しつつあります。政府補助金だけでなく、クラウドファンディングやふるさと納税など様々なプラットフォームが生まれています。さらに、トークン・エコノミーの登場により、新たな発展が可能となりました。
トークン・エコノミーとは、特定のサービス事業者が代替貨幣としてトークンを発行し、これをサービス・ユーザーが購入して使用することで新たに生み出される経済的価値に基づく経済圏を指します。現在、オンライン・ゲームのポイントからビットコインなどの仮想通貨による 経済圏まで、多様なトークン・エコノミーが発展しつつあります。
このトークン・エコノミーは地域活性化の分野でも導入されています。近年、地域レベルで トークンを発行し、これを地域通貨として流通させることで地域の活性化を目指そうという 試みが始められています。自治体や地域の事業者・金融機関がトークンを発行し、地域内外から資金を調達して地域活性化事業を展開したり、地域通貨という形で域内に流通させることで消費の活性化と域内資金循環の向上を図ったりというプロジェクトが進行しています。 今後、このような試みは地域活性化のための資金調達の手法として多様に発展していくことが期待されます。
第7回インパクト・サロンでは、こうした自治体トークンと地域通貨を活用した地域活性化を研究しておられる保田隆明神戸大学経営学部准教授をお招きし、日本での事例研究を 踏まえて、今後の発展の可能性を展望していただきます。トークン・エコノミーは、地域活性化に向けたファイナンスの新たなフロンティアとなるのでしょうか。導入にあたり、どのような課題があるのでしょうか。参加者の皆様との対話を通じて、議論を深めていきたいと思います。 できるだけ多くの方々のご参加をお待ちしております。
多摩大学社会的投資研究所
■プログラム概要■
【日 時】 2019年7月10日(水) 午後7時より8時半(開場:午後6時半)
【会 場】 日本財団ビル2F会議室(東京都港区赤坂1-2-2)
(https://www.nippon-foundation.or.jp/who/about/access/)
【講 師】 保田隆明(神戸大学大学院経営学研究科准教授)
【参加費】 2000円(研究所の個人・法人サポーターは無料)
【申込方法】 事前にPeatixにてお申込み下さい。
https://tama-csi8.peatix.com/
【主 催】 多摩大学社会的投資研究所
【助 成】 サントリー文化財団
【特別協力】 社会的投資推進財団
【問合せ】 多摩大学社会的投資研究所 info@tama-csi.org
■講師略歴■
保田隆明
(神戸大学大学院経営学研究科准教授)
外資系証券会社2社にて投資銀行業務に従事後、2004年にSNS運営会社を起業。同社 売却後、ベンチャーキャピタル、金融庁金融研究センター専門研究員、小樽商科大学准教授などを経て現職。主な研究領域は、コーポレートファイナンス、M&A、ふるさと納税、クラウドファンディング、地域通貨、ベンチャービジネスなど。
地域活性の研究視察で全国50以上の自治体を訪問し、首長、自治体職員、地域事業者など数多くのヒアリング、意見交換を通じた政策立案を目指す。主な論文に、「ふるさと納税をきっかけとした地域金融機関の機能強化の可能性」、主な著書に「ふるさと納税の理論と実践」、「Crowdfunding: Lessons from Japan’s Approach」など。博士(商学)早稲田大学。
現在、神戸大学経営学研究科事業創造&地方創生センター長として調査・研究・政策提言を 行うかたわら、文部科学省地域イノベーション・エコシステム形成プログラム審査委員、大阪府市町村振興協会地域通貨研究会座長、同クラウドファンディングによる地域活性化研究会座長などを務めている。