「新しいフィランソロピーを発展させるエコシステムに関する調査」報告書が公開されました

多摩大学社会的投資研究所は、一般財団法人社会変革推進財団の委託を受け、「新しいフィランソロピーを発展させるエコシステムに関する調査」を、今年3月から4ヶ月間にわたり実施しました。調査および報告書作成は、小林立明研究員が行いました。

調査では、まず、グローバルに発展するフィランソロピーの動向について文献調査を行いました。21世紀に入り、海外では、伝統的な寄付・助成に加えて、インパクト投資や様々な資金提供手法を柔軟に組み合わせて社会的インパクトを最大化しようという新しいフィランソロピーが発展しています。米国発のこの新しいフィランソロピーは国境を越えて拡大しており、現在では、BRICSなどの新興国だけでなく、東アジア、南アジア、中南米、さらに中近東・アフリカへとグローバルに拡大しています。

こうしたグローバルなフィランソロピーの発展において、金融資産額が1億円以上ある富裕層が大きな役割を果たしています。特に、資産額が30億円以上の超富裕層の役割は重要で、インパクト投資などの新たなフィランソロピーに積極的に取り組んでいます。現在、富裕層の資産総額は74兆ドルと推定されていますが、この1%でインパクト投資市場が倍増、2%で世界の財団の総資産が倍増、そして4%でSDGsの資金ギャップが解消すると見込まれています。

他方、日本のフィランソロピーは、こうしたグローバルな発展から取り残されている印象があります。助成財団数は圧倒的に少なく、しかも近年、その設立件数は減少傾向にあります。助成対象分野も奨学金や研究助成が中心で、海外の新しいフィランソロピーのように、社会的課題に取り組む財団はわずかです。また、インパクト投資に関心を持つ財団もほとんどありません。世界第2位の資産大国であり、しかも超高齢社会に突入して様々な課題に直面している日本において、海外で発展している新たなフィランソロピーを発展させることが急務となっています。

報告書では、このための方策として、海外で発展している新たなフィランソロピーのエコシステムの整備を日本でも行うことを提言しています。具体的には、新しいフィランソロピーの受け皿となる「寄付・投資ビークル」の発展、富裕層のフィランソロピー活動への参入を促す「フィランソロピー・アドバイザリー・サービス」の整備、富裕層が情報を収集し共に学び合う「支援ネットワーク」の整備、そして、これらの発展を支える寄付税制や公益制度の整備です。

今回の調査報告の作成を機に、社会的投資研究所は、今後、さらに追加調査を進めるとともに、「フィランソロピー・アドバイザー」の育成や、「フィランソロピー・コンサルティング」サービスの発展などに取り組んでまいります。引き続きよろしくお願い申し上げます。

報告書は、社会変革推進財団のサイトからご覧頂けます>(リンク

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