多摩大学社会的投資研究所/GEI有志会特別セミナー開催報告

11月12日(木)に「SDGファイナンスの新潮流ーSDGインパクトが目指すファイナンス手法の標準化ー」をテーマに特別セミナーを開催しました。当日は、100名以上の方にご参加頂き、基調講演、パネル討論、質疑応答まで、非常に充実した議論を行うことが出来ました。改めまして、ご参加頂いた方々にお礼申し上げます。

セミナーは、渋澤健(シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役)の基調講演から始まりました。

渋澤さんは、外務省の「SDGsの達成のための新たな資金を考える有識者懇談会」の座長を務められ、その関係で外務省から依頼を受けて、国連開発計画のSDGインパクト推進委員に日本人として唯一参加されています。渋澤さんは、実際に推進委員に就任され議論に参加された経験を踏まえながら、SDG達成において民間資金が果たす役割が重要であり、SDGインパクト投資を通じてSDG達成に必要な資金ギャップを埋めるだけでなく、株主資本主義から関係資本主義への大きな時代の転換を推進するというより大きな文脈も視野に入れなければならない点を強調されました。この鍵を握るのが、投資や企業活動の社会的インパクトをどのように測定するのかという点であり、そこにSDGインパクトの標準化の意義があることを力説されました。また、SDGインパクトのようなグローバルなルール形成が進められている中で日本が積極的にこのプロセスに参加していないことは問題であり、ぜひ日本からもコンサルティングのプロセスに積極的に関わっていく必要があると語っておられました。

渋澤さんの基調講演を受けて、パネル討論が行われました。

河口真理子(立教大学特任教授)さんは、民間投資の大きな流れとして、経済的リターンだけでなく、社会・環境的な利益をどう追求するかという点からESG投資やサステナブル投資が議論されてきたことを歴史的に概観し、その次のステップとしてよりポジティブな社会的インパクトを求めるインパクト投資や、SDG達成を目指すSDG投資が搭乗したとした上で、その発展のためには企業会計制度の見直しも必要だろうと指摘されました。

黒田由貴子(GEI有志会代表)さんは、日本企業の社外取締役やNGOとしての活動経験を踏まえ、日本企業がSDGインパクトに取り組むにはまだ時間がかかるかもしれないが、ルールが確立すれば日本企業も積極的に導入するだろうとの見通しを示されました。その上で、日本企業がSDGを事業の柱のひとつに据えることが重要であり、そこでは社外取締役が多様なステイクホルダーの視点から積極的に発言することが重要であると指摘されました。

佐々木清隆(一橋大学客員教授)さんは、国際金融の視点から、SDGインパクトの取り組みはルール・ベースではなくプリンシプル・ベースの作業であり、多様な枠組みがあり得るだろうから、最終的には市場原理に基づいて一定のルールが生き残るだろうと指摘した上で、鍵を握るのはこれまで財務諸表の適正性と内部統制の分析を中心としてきた監査に、どのように非財務情報を取り組んでいくかが鍵を握るだろうと分析されました。

堀内勉(多摩大学社会的投資研究所副所長)さんは、SDGインパクトが普及するためには、投資格付に活用され、資本市場にうまく組み込まれることが必要だとした上で、そのための仕組み作りをどうするのかという問題提起をされました。

質疑応答も、ハーバード大学が現在推進しているインパクト加重会計の有効性、事業者向けSDGインパクト・スタンダードの内容、経済的リターンと社会的リターンのバランスをいかに取るかなど、多岐にわたる質問が寄せられました。限られた時間の中で、すべての質問に回答することが出来なかった点はお詫び申し上げます。

社会的投資研究所では、SDGインパクトは重要な取り組みだと考えており、今後も、様々な切り口からこのテーマを取り上げていこうと考えています。引き続きご参加頂きますようお願い申し上げます。

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