第21回インパクト・サロン開催報告

4月23日(金)に「インパクト投資の新潮流ーー新たなインパクト投資ファンドに挑戦する次世代リーダーたちーー」を開催しましたのでご報告します。70名の方がセミナーに登録し大盛況で終了することができました。ご登壇頂いたパネリストの方々、そしてご参加頂いた皆様に改めてお礼申し上げます。今回のセミナーは、若い世代でインパクト投資ファンドの設立に取り組んでおられる方々をお招きし、ファンド構想を説明すると共にインパクト投資ファンドにかける想いを語ってもらいました。それぞれとてもユニークなアプローチで非常に興味深いお話しを伺うことができました。

フィノーカル:賑わいあふれる開かれた地域へ

フィノーカル代表取締役の内山大志さんは、「賑わいあふれる開かれた地域へ」というコンセプトの下に準備している起業家支援・地域ファンドについての紹介がありました。このファンドは、地域課題を解決する社会起業家の成長を支援するインパクト投資ファンドです。自治体・地域金融機関が出資し、地域の固有性を最大限に活用しようという点に特徴があります。

これを実現するため、フィノーカルは、経済的リターンだけでなく社会的リターンも追求する投資家をターゲットとし、長期的な観点から地域コミュニティの充実に積極的にコミットする投資手法を展開する予定とのことでした。現在、ファンドの準備中ですが、実現すれば、地域課題を解決する新たなインパクト投資ファンドのモデルとなることが期待されます。

taliki:社会課題を解決する人をエンパワーする

taliki代表取締役の中村多伽さんは、「社会課題を解決する人をエンパワーする」というミッションを掲げ、社会起業家育成プログラムや社会課題解決のためのオープンイノベーション・プログラム、こうした活動の情報を発信するメディア運営など、様々な事業を展開してきました。さらに、近年、発掘・育成した事業シーズに投資してさらに発展させるためにtalikiファンドというインパクト投資ファンドを設立しました。

talikiファンドのユニークな点は、IPOやM&Aによる投資リターンの回収だけを目的とするのではなく、ユーザーやステークホルダーとの共創を通じた成長を目指すところにあります。このため、活用する投資スキームとして、通常の株式投資契約に加えて、プロフィットシェア(利益分配)契約を締結し、出口戦略を求めることなく、資金提供を行う手法を導入しました。社会起業家コミュニティの育成や大企業との連携等、事業者の目線に立った成長支援モデルは、日本のインパクト投資の新たな可能性を示していると言えるでしょう。

GLIN Impact Capital:日本発グローバル・インパクト戦略

最後に、GLIN Impact Capital代表パートナーの中村将人さんからは、よりよい資本主義の仕組み作りに貢献することを目指したインパクト投資ファンドGLIN Impact Capitalについて紹介がありました。このファンドは、日本のプレIPOステージの企業に対して、1件あたり3000万円から1億円程度の投資を行うファンドです。投資だけでなく、上場準備及び上場後におけるインパクト事業戦略組み込みや情報発信、人材採用支援なども併せて行うことで企業の成長を支援するとのこと。

GLIN Impact Capitalの特徴は、日本が抱える社会課題の解決に取り組む企業をターゲットとしている点。日本が主要先進諸国に先駆けて直面する課題へのソリューションを提供する企業には、この実績を踏まえてグローバル・マーケットへの成長を支援し、逆に日本が対応が遅れている分野については海外の先端的な事例を日本に紹介することでスケールアップを図っていきたいとのことでした。グローバルなマーケットを視野に入れた点で、今後の日本のインパクト投資ファンドの海外進出モデルを提供することが期待されます。

パネル討論(1):インパクト投資発展に求められる公的支援

以上の、発表を踏まえ、パネル・ディスカッションでは、インパクト投資マーケットの魅力と今後の成長可能性、またインパクト投資発展のために求められる制度面での課題について意見交換を行いました。若い世代がインパクト投資を立ち上げる上で最大の課題となるのは、インパクト投資に対する認知の低さと、各ファンドのトラックレコードのなさです。インパクト投資は、新しい投資手法なのでトラックレコードがないのはある意味、当然なのですが、日本社会では、こうした新たな取り組みに対する理解がなかなか得られないのが現実です。これを解消するためには、インパクト投資ファンドに対する公的認証制度や、インパクト投資に対する税制優遇など、何らかの公的な支援が必要だということで参加者の意見は一致しました。

パネル討論(2):休眠預金資金を活用したインパクト投資支援

また、休眠預金資金を活用したインパクト投資ファンドの成長の可能性についても議論がありました。ご承知の通り、英国ではビッグ・ソサエティ・キャピタルが、休眠預金資金を使って英国のインパクト投資ファンドへの資金提供を行っています。これを日本で休眠預金資金を扱っている日本民間公益活動連携機構(JANPIA)が行うためには、どのようなルールを整備する必要があるのでしょうか。

パネリストからは、休眠預金である以上、利益分配は最小限にとどめるべきだとの前提で、(1)休眠預金資金については、投資のリターンをすべて再投資するルールを設定する、(2)休眠預金資金は、ブレンディド・ファイナンスにおける劣後部分を中心にする、(3)休眠預金資金はエクイティ投資ではなくローンや共同融資を中心にする、(4)インパクト投資ファンドが行う経営支援や評価などの活動に対して助成する、(5)通常の投資に比べてリターンを見込むことができないホームレス支援や貧困支援などの困難な領域にターゲットを絞る、などの多様なアイディアが出されました。あわせてペーパーワークを最小限にすべきなどの意見もありました。それぞれ、今後、JANPIAがインパクト投資分野に参加する上で参考となる重要なポイントだと思います。

まとめ:若い世代が切り拓く新たなインパクト投資の可能性

今回、参加したパネリストの皆さんは、皆、若い世代で、活発な議論が展開されました。最後に、印象に残ったパネリストの発言をご紹介しておきます。

「社会課題をわざわざ語ること自体がダサいと思うような、すべての投資家が地球と社会にきちんと向き合う仕組みを作ることが必要です。これは、ロスジェネを経験し、地球環境問題を自分ごととして考えなければならない私たちの世代がリードしていくしかないと思います。」日本におけるインパクト投資も着実に成長しつつあることを実感したセミナーでした。

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